なつやすみ日記

猫のような日々

ミドリムシラーメンの山手ラーメン本郷安庵

東京大学本郷キャンパスの目の前にミドリムシを大量に煮込んだラーメンを販売している店がある。孤独のグルメで一躍有名になってしまった赤門ラーメンにしようか迷ったけど、わけのわからん食べ物を食したい気分だった。ミドリムシラーメンを食べることに決定。

f:id:jassmaz:20160224181154j:plain

一杯にミドリムシが七億匹入っているらしい。

 

奇を衒った食べ物は案外と普通の味である。個人的にミドリムシぽい未知なる新味覚を求めていたんだけど、ペペロンチーノか、バジルパスタか、具にパプリカがあるように冷凍食品のイタリアンのような味のラーメンだった。意外性ゼロ。口に入れる瞬間まで「これほんとうにたべるのかよ?」と心臓がドキドキしていたのが馬鹿みたいだ。というか、ミドリムシラーメン頼んでいる人は僕だけだったよ!!!!常連的に頼んではいけない気配があった・・・。周囲の東大生らしき学生の注文は全員普通のラーメン。

 

tabelog.com

 

東大ベンチャーである株式会社ユーグレナミドリムシを卸しているらしい。ミドリムシを食べたのは人生で初めてだったけど、無臭無味だったので(ひょっとしたらバジルやオリーブオイルの香りで飛ばされているだけかもしれないが)可能性がある食品なのかな?と思い始めている。

 

www.euglena.jp

 

ユーグレナは沖縄のファミリーマート限定でミドリムシパンを売っていたり、サプリメントや化粧品になっていてワロタ。ミドリムシが喉に寄生しそうなイメージを想起させるユーグレナのど飴がすてきだね!

 

味覚糖 ユーグレナのど飴 71g×6袋

味覚糖 ユーグレナのど飴 71g×6袋

 

 

バイオザイム(BIO ZYME)100粒 1個 ユーグレナ みどりむし

バイオザイム(BIO ZYME)100粒 1個 ユーグレナ みどりむし

 

 

ユーグレナ緑茶もやばい。緑と緑のコラボレートだ。

 

ユーグレナ緑茶 パウダー 40g

ユーグレナ緑茶 パウダー 40g

 

 

ユーグレナは半分冗談で作ったような商品をたくさん作っている。ただ、ユーグレナはユーモラスな部分だけではなくてミドリムシを航空燃料にするというベンチャー企業らしい計画もある。成功すれば莫大な富を生むことは間違いない事業だ。ヘンテコなラーメンから航空燃料に繋がっていくSFみたいな背景があるんですよね。*1

 

ラーメン屋のオヤジ「ここの具材で飛行機飛んでいるんですよ(ニヤリ)」

 

*1:安いパソコンを作っているメーカーが日本転覆を企む宗教団体だったのはオウム真理教

Google検索演算子を使ったいけないファイルの探し方

インターネットでちょっといけない動画を探すときはGoogleの検索演算子を使うと便利です。大抵のいけない動画はyoutubeニコニコ動画にアップロードされると削除されてしまっているので以下のように検索結果から除外してあげると見つかりやすいです。

-site:youtube.com

またOR演算子をつけてあげると除外したいURLを無制限に繋げていくことが可能です。いけないファイルを探すときに便利だね(なげやり!!!) 

-site:youtube.com OR nicovideo.jp  OR amazon.com

 

参考URL

support.google.com

search.nifty.com

地域社会とコミュニティのはなし

黄金町の試聴室という喫茶&レコード酒場が閉店する。

音楽評論家の岡村詩野さんが言及しているように日本のインディロックが好きな人にはそれなりに知られている場所だ。

大家のNPOとは黄金町エリアマネジメントというまちづくり会社のようだ。設立する経緯は各々異なるが、全国的に設立されつつある組織の一つである。まちづくり・・・まちおこし・・・シャッター商店街の問題解決・・・地域社会の問題を解決するのを目的としているようだ。この手の社会活動に関心がある人は知っているが彼らは決まってアートや音楽を町おこしの手段にする。これはジェントリフィケーションと言われている手法だ。 

都心近接低開発・低所得地域(インナーシティ)に上流サラリーマンや若手芸術家など、都市の活性化を引き起こすキーパーソン(=ジェントリファイヤー)が移り住むことで、自然治癒的に地域環境が向上する。典型的な事例として、ニューヨーク市が挙げられる。1950年代、工場や倉庫の廃屋が並び立つSoHo地区に安価な居住を求めて芸術家やミュージシャンが移り住み、カウンターカルチャーの中心地となった。それによって地域に文化的、社会的な高級化がもたらされ、求心性を獲得した地区には中産階級が流入する。さらに彼らを対象にした商業施設が増加し、結果、住区では低所得者層から中・高所得者層へと居住者の階層の入れ替えが起こった。こうした地域の高級化は、持続的なインフラの整備や治安の向上などの恩恵をもたらすため、都市の不動産から投機的な利益を得ようとする人々や、都心部に中・高所得者住民を定住させ、雇用機会を確保しようとする行政側に歓迎される。

ジェントリフィケーション | 現代美術用語辞典ver.2.0

 

端的に言ってしまえば街の再開発にアートを使うことである。といっても日本の美術市場は米国や欧米と比べると微々たる物で現代アートに限っては会田誠ですら企業の係長レベルの年収だそうだ。というか現代に生存している芸術家の常設展がほとんど存在しないことは日本に生きている誰もが知っている。美術館が展示している作品は古いものばかりだ。そもそも美術市場がほとんど存在しないのに文化的価値や社会的な高級化が高まるのだろうか?先日、行政がシリコンバレーに憧れてコワーキングスペースを作りまくっているというエントリーを投稿した。米国の都市部は家賃が高すぎてオフィスを借りれないから仕方なくコワーキングしているのだけではないか、と書いたがアートや音楽でまちづくりをするのも同じ話だろう。社会的背景を見ずに耳触りの良い結果だけを輸入して実行に移しているのだろう。 Facebookの創設者のようにWebサービスでミリオネアになろう、アンディ・ウォーホルのように何十億円で取引される作品を作ってミリオネアになろう、ハリウッドでスターになってミリオネアになろう・・・欲望が渦巻いた人間が集まった結果、憧れのスター達がいる地域の不動産価格が高騰するのは容易に想像できる。みんなそこで一発当ててやりたいからだ。*1

 

そうえいば黄金町の試聴室はNPO側から「黄金町(地域)での活動に貢献していないと」と指摘されたそうだ。ここである論文を引用したい。

都市社会学のパーソナル・ネットワーク論の知見では,制約の大きい既婚女性,高齢者,社会経済的地位の低い者は〈場所に根ざしたコミュニティ〉を形成しがちであり,制約の少ない男性,若者,社会経済的地位の高い者は〈場所を超えたコミュニティ〉を形成しがち(松本,2001:81)であることが明らかにされてきた。この知見を裏返してみると,社会的条件が不利な層に対して,セーフティネットとして〈場所に根ざしたコミュニティ〉を強化するべきだという主張も十分説得力を持つはずだ。

人間発達学研究 第3号 コミュニティと排除(上) 松宮 朝 P45

 

 

 

場所に根ざしたコミュニティとは地域社会のことであり、場所を超えたコミュニティとは時間や空間に制限を受けにくいコミュニティのことである。少し分かりにくいかもしれないがようは電車や車に乗れるか乗れないかの差異である。例えば黄金町の試聴室は全国から出演者を呼んでいる。お客さんは東京圏に住む人たちを大勢呼んでいるだろう。場所に囚われていないということがわかるだろうか?一方で専業主婦は街から出る必要もないし、仮に働いていたとしても既婚女性の正規雇用率は低いため郊外のベッドタウンのスーパーか何かでパートをしているケースが増えてしまう。そのため地元のコミュニティと密接な関係になりがちだ。既婚女性,高齢者,社会経済的地位の低い者が地域社会とコミットしやすい理由は引用先が引用している論文集『都市化とコミュニティの社会学』に詳しく分析している。百聞は一見にしかず、FAAVOという地域社会のコミュニティのためのクラウドファンディングサービスを見てもらえば理解するだろう。

地域 × クラウドファンディング | FAAVO(ファーボ)

 

見ているとうんざりな気分になってくるがこれが地域社会というフワッとした言葉の正体だろう。既婚女性,高齢者,社会経済的地位の低い者がコミュニティの中心にいる。経済の基本原則として資本主義はヒト・モノ・カネの流通を活発にすればするほど経済は活性化しやすい。地域から動けない彼らが有益な経済活動が出来るのだろうか。投資している人たちを調べると地域社会の友人達であったりするのだ。カネやヒトも地域から動いていないのだ。

 

黄金町が廃れた理由は風俗街を徹底的に取り締まったからだそうだ。少なくとも風俗街は地域の外から人間を呼びお金を落として経済を活性化させる側面がある。なぜなら必然的に風俗街で働く人達やお客さんのために飲食店も栄えることになるからだ。が、地域社会の住民自身がつぶしてしまったそうだ。まるで間抜けではないかと嘯きたくもなるが、一つわかることがある。地域外から人間を呼ぶのを好まないという可能性、そして自分たちの地域を綺麗にしたい、彼らが思うままに貢献してほしいという欲望が垣間見える。

 

日本全体で問題になっている空き店舗の大家は経済的に困っていないため空き店舗になっていることがほとんどである。本当に経済的に困っているのであれば売却して全国チェーンのファーストフードかコンビニになっているからだ。そして、先ほどの論文を参考にすれば地域社会に高くコミットしているのは高齢者か既婚女性である。経済的には困っていない、彼らが儲かる風俗街を排除しても何も困らない立場だ。

 

黄金町のアーティストインレジデンスをざっと眺めると地域社会の外部から人間を呼んでいる団体は多くはない。あと、気になったのが地域の啓蒙運動や盛り上がりに欠ける地域のアートイベントに参加している人達が目に付いた。

穿った見方だが、地域の外からたくさんの人を呼んでいて目障り、あいつら地域の活動だってロクに参加しないのに・・・地域社会側はこんな風に思っているのかもしれない。実際、前年までNPOが発行する冊子に載っていたにも関わらず2011年に突然紹介ページに載らなかったという不穏な事件が起きている。

f:id:jassmaz:20160214053725p:plain

 

アニュアルレポート発売中! | 黄金町エリアマネジメントセンター|KOGANECHO AREA MANAGEMENT CENTER

詳しい事情はわからない。憶測にしかならないが、ただ一つ言えるのは場所に根ざしたコミュニティ場所を超えたコミュニティがコンフリクト(紛争)を起こしたということではないだろうか。場所を超えたコミュニティには多くの若者がいたし、それなりに名を馳せる人たちもいた、それが地域に縛られている人たちによって壊されてしまったように思えてしまった。全国に散らばるまちづくり会社によるアート活動から誰かを感動させるような物は僕は見たことがない。なぜなら脱臭され尽くされた人畜無害で退屈な物ばかりだからだ。危ないアートはできない、理由はもちろん・・・・。

 

手軽に手に入る場所を超えたコミュニティはインターネットを使えば簡単に作れる。経済的資本は無くても平気だ。文化的資本があればいい。インターネットから始まるユースカルチャーが台頭するのは自然なことだ。一方で場所を超えた人達は身体性を失いつつある。それで本当にいいのだろうか。

「お前はそこで生まれたからといって、そこに居続けなければならないのか? 

INU 305

www.youtube.com

 

 

追記

 

阿川大樹氏曰く風俗街を撤去させてマンションを建てて住民増加させる間の徒花でしかないそうだ。 Togetterを見る限りは住民や税収を増やしているし、無戦略で施策しているわけではないみたいだ。

togetter.com

といってもまちづくり会社に2008年以降から累計20億円以上の税金が投入されている。おまけに寄付も募っているが会計報告は公表されていない。 税金を注ぎ込んだことによる具体的な成果を第三者がまとめるのは異常なことだ。NPO側がまとめるのが本筋であるが、単純に彼らの目的と違うから公表していないのである。

 

10plus1.jp

 

プレディみかこ氏が述べているようにジェントリフィケーションは排除を伴う。ジェントリフィケーションの目的は地価の上昇だ。空き店舗や空き家など様々な問題定義はブラフになっており、徒花としてアートを使って邪魔な人間を排除する。そしてマンションのような効率的に多くの人間を収容できるスペースを建設する。全国各地のまちづくりが成功しているか、失敗しているか、是非はともかく、このような目的やリスクを公表しているところを僕は知らない。 

*1:追記参照。実は邪魔な人間を排除することで地価を上げることが目的だったりもする

行政が作るコワーキングスペース

コワーキングスペース、インキューベーションオフィス、シェアオフィス。最近、そういった施設を行政が設立している。例に漏れず僕の住む東京都郊外にも存在している。ただし利用者はほとんどいない。言うまでもないが施設維持には税金が投入されている。

f:id:jassmaz:20160112191519j:plain

 

f:id:jassmaz:20160112191505j:plain

平日の午後5時過ぎだったが利用者はゼロ。利用時間内にも関わらず利用者が誰もいないから室内の明かりは消されていた。場所は東京都羽村市羽村市産業福祉センター内にある。名称は「iサロン」だ。福祉センターの職員に尋ねてみると月間利用者数は僅か30人足らずだそうだ。僕やあなたは羽村市の地縛霊とビジネスの情報交換ができる、ということだ。

https://www.city.hamura.tokyo.jp/0000008179.html

 

羽村市産業福祉センターは羽村図書館の隣にある。僕は本を借りるついでに覗いてみた。撮影した写真はその時のものだ。後日、本を返却するときにまた様子を覗きに行くと利用者が誰もいない室内に派遣された中小企業診断士が暇そうに書類を眺めていた。「暇そうですね」と声をかける。僕は彼と雑談をすることにしたのだ。そして彼が教えてくれたのだが東京都は創業支援施設の開設を進めているらしい。さらにムーブメントは東京都に限った話ではなく、全国的な動きになっているそうだ。地方在住の知人友人曰く「私の街にもできた」と・・・。もちろん利用者はあまりいない上に傍目から見て何かの成果が出ているようにも見えないとの談。試しに適当に『◯◯県 コワーキング』と検索すると地獄のような光景が広がる。

 

首相官邸がプレスリリースしている日本再興戦略改定2014改訂に以下のことが書かれている。

ベンチャー支援
ベンチャー支援については、より効果的で、従来の取組にない施策を
実行することが必要である。
①「ベンチャー創造協議会(仮称)」等による大企業の巻き込み
ベンチャー企業そのものに焦点を当てた施策、大学発ベンチャー
支援などの従来の施策のみならず、既存企業を含めた日本経済全体
での挑戦を推進するため、以下の施策を講ずる。
ベンチャー企業と大企業との連携や大企業発ベンチャーを創出す
るため、大企業内に眠る起業希望者の一時的な受皿となることも
視野に入れつつ、ベンチャー企業と大企業のマッチングやビジネ
スシーズの事業化を支援するプラットフォームとしてベンチャ
ー支援に協力的な大企業等から成る「ベンチャー創造協議会(仮
称)」の創設
・全国津々浦々のベンチャーに取り組む個人や団体の「出会いの場」
としての情報ハブの構築
国際会計基準IFRS)の適用促進等を通じた大企業等との M&A
よるベンチャー企業の出口戦略の拡大
・兼業・副業等の促進や日本政策金融公庫等の低利融資制度拡充に
よる廃業資金を含めた第二創業の支援
・創業希望者をプールした「後継者人材バンク」の開設
クラウドファンディングを活用した地域資源活用型ベンチャー
の起業支援モデルの検討
・種類株式活用促進策の検討

日本再興戦略改定2014改訂 P33

全国的に施設が出来ているのは国家政策に依るものだろう。日本再興戦略改定2015改訂 ベンチャーの定義も書かれている。

(1)「稼ぐ力」を高める企業行動(≒前向投資)を引き出す
ⅰ)「攻め」のコーポレートガバナンスの更なる強化
・企業と投資家の建設的対話の促進(株主への情報開示促進)
・成長志向の法人税改革
・民間投資促進に向けた官民対話
ⅱ)イノベーションベンチャーの創出
・「ベンチャー・チャレンジ2020」の推進
-米・西海岸レベルの国際的拠点形成
(特定研究大学、卓越大学院)
シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト、
エコシステムの形成
イノベーション・ナショナルシステムの本格稼働に向けた
大学改革
-運営費交付金の重点配分導入による大学間競争の促進
ⅲ)アジアをはじめとする成長市場への挑戦
・「質の高いインフラパートナーシップ」の展開
(2)新時代への挑戦を加速する(「第四次産業革命」)
・IoT・ビッグデータ人工知能による産業構造・就業構造変革
の検討
-民間投資と政策対応を加速化する官民共有の羅針盤策定
・セキュリティを確保した上でのIT利活用の徹底
-サイバーセキュリティ対策の抜本的強化
-IT利活用の推進、マイナンバー利活用範囲の拡大

日本再興戦略改定2015改訂  P1

どうやら政府が定義するベンチャーとはシリコンバレーに存在する企業群を指すようだ。米国で普及しているコワーキングスペースを日本各地に作るのも政策の一環なのだろう。ただし、米国の都市部で一般的になっているシェアハウスもそうだが、コワーキングスペースが盛んな理由の一つは米国の都市部の家賃が尋常ではないためだろう。

シリコンバレーでは、この10年ほどでIT系の職が急増したが、同時に家賃も高騰した。ワンベッドルームのアパートの平均的な月額家賃は、サンノゼで2186ドル、オークランドで2469ドル、サンフランシスコでは3361ドルにもなる。

http://usfl.com/2015/10/news_articles/90657

これはシリコンバレーに限った話ではなく米国都市部の家賃は高額であることで知られている。つまりシェアハウスが一般的な理由は家賃が高額であるためだ。必然的にシェアハウスに住む人間がオフィスを借りることが出来るわけもない。オフィスをシェアすること、コワーキングのような文化が発達した理由の一つだろう。そもそもアパートを一人で借りていればそこで仕事をすればいいし登記も借りているアパートですればいいのだがそれができないからコワーキングスペースを借りているのだ。

 

誰もが知るような話としてシリコンバレーでハイテク産業が発達した理由は工学系の大学があったからだ。政府が「西海岸レベルの国際的拠点」を作るために産学提携を掲げる理由も同じだろう。だが、東京大学東工大の付近ならともかく、東京の郊外、いや、大学の影すらもないようなド田舎にコワーキングスペースが作られている。政府からのトップダウンで指示が下り、妄想の産物のような施設が作られる。時代は違えど箱物行政と批判された時代から何一つ本質は変わっていないのだ。

 

箱物教育行政の犯した大罪―国民総愚民化

箱物教育行政の犯した大罪―国民総愚民化

 

 

追記

僕は羽村市青梅市の境目に住んでいる。青梅市にも昨年末にコワーキングスペースが設立された。『おうめ創業支援センター Begin!』だ。

http://www.ome-begin.com/

 

f:id:jassmaz:20151218155224j:plain

 やっぱり利用者はいませんでした。

f:id:jassmaz:20151218155442j:plain

 本棚にマルチビジネス御用達のロバート・キヨサキの本があった。

 

ここは1日利用に500円、月間3000円で利用出来るそうだ。付近の青梅市の中央図書館は有線LANでインターネットが使えるし、コピー機も使える。「この施設のサービスは図書館でも無料で使えるのですが・・・?」と職員に質問してみたところ自宅で勉強ができないから図書館に行きたい需要があるように有料のコワーキングスペースも存在意義がある、と回答をいただきました。

 

写真の奥に施設のポスターがある。彼はここ数年間青梅市の商工会関係の仕事を請け負っている。市内の人間には知られていることだ。

f:id:jassmaz:20160211113603j:plain

 

 

僕がお邪魔しているときも清掃業者か複合機のリース業者かわからないが頻繁に営業の出入りがあった。創業と言いつつも皮肉なことに儲かるのは彼らなんだよね。

日本語で発信する海外メディアまとめ

 

ロイター
http://jp.reuters.com/

BBC
http://www.bbc.com/japanese

CNN
http://www.cnn.co.jp/

AFP
http://www.afpbb.com/

WSJ
http://jp.wsj.com/home-page

ブルームバーグ
http://www.bloomberg.co.jp/

ハフィントンポスト
http://www.huffingtonpost.jp/

VICE
http://jp.vice.com/

Financial Times
http://www.nikkei.com/biz/world/page/?uah=DF150220104320
http://jbpress.ismedia.jp/category/ft

Newsweek
http://www.newsweekjapan.jp/

フランチャイズビジネスの闇

若年層の間で固定電話を引くことは少なくなっているそうだ。携帯電話の普及で広大な砂漠や草原があるような国でもようやく電波網が広がったなんて話があるぐらいだ。世界的に固定電話を持つ人は少なくなってきている。

 

僕は実家住まいの若年無業者だ。午前中に家にいることも珍しくない。現代の貴族。自宅警備員ライフ。生活保護予備軍。なんと呼ぼうが自由だが母親が買い物に出かけている間に固定電話にかかってくるセールスの電話を取ることも少なくない。今も受話器を下ろしたばかりだ。

 

電話の内容は不用品回収のセールスだった。僕も興味があるビジネスだ。不用品を回収し、amazonなどのネットショップで売りさばく。壊れた電化製品や電池など素人が扱いにくいゴミも多量にあれば買い取る業者は存在する。ただ無料で引き取る、つまり引き取ったものを引き払う構図は誰もがわかることだ。かつてはお金を払って手に入れたものを誰かに無償で引き取られるのはなかなか抵抗があるだろう。それに最近はハードオフブックオフ等のどこにでもあるようなリサイクルショップに電話一本で駆けつけて二束三文で買取をしてくれるようになっている。新たな付加価値を付けなくてはビジネスにならないと僕は考えている。それは信頼や社会貢献のようなものだと思っているが残念ながらまだ答えは出ていない。

 

統計的に人口の一定以上が詐欺に騙されてしまうように、テレアポを繰り返せば無償で不用品を渡す人もいるのだろう。

 

話が随分と逸れてしまった。僕は大抵セールスの電話がかかってくると「母は出かけております」と静かに受話器を置く。今回は「母に伝えておきます」と答えた上で会社名と事業所を尋ねた。会社名は株式会社ゼンダーツー(仮称)、事業所は東京都足立区にあった。

 

電話を切った後、即座に手元のiPadで会社名で検索をする。すると事業所の場所に某大手古本店の店舗があった。そして、会社の名前でamazonなどのネットショップで回収した不用品を転売していた。もちろん某大手古書店の名前では無い。

 

想像に難しくないことだ。引き取った商品で値段が高くつきそうな物や売れない物をネットショップで処分し、そうではないものは大手古書店のほうに陳列する。一時期セドリという古書店で買った本をインターネット・ショップで売買するビジネスが注目された。これは大手古書店では買取ルールの間隙を突いたビジネスだった。汚れていたり、古かったりするものは一律10円といったふうにだ。中にはプレミアがついている本があるいも関わらずだ。もちろん僕の実家にセールスをしてきた会社は衣類等も回収していると言っていた。高いブランド品はネット・オークションで売りさばき、二束三文の商品は店舗に陳列するなどもしているだろう。

 

もちろん大手古書店はフランチャイズ店舗にこのようなビジネスは認めていない。フランチャイズの規約には競業避止義務があった。競業避止義務とは契約中は似たようなビジネスを行わないという約束のことだ。当たり前だがインターネット・ショップで捌いた商品は大手古本店の売り上げにもなっていたかもしれないからだ。

 

ただし、コンビニなどで知られているようにフランチャイズ・ビジネスは邪悪なものが多い。高額なフランチャイズ料金が毎月取られ、直営店がフランチャイズ店の近くに出来ることもよくあることだ。もちろん潰れたところで運営側は知ったところではない。多額の出費に苦しめられて彼らは契約違反行為に手を出しているのかもしれない。

 

 

コンビニ・フランチャイズはどこへ行く―「地獄の商法」?適正化への法規制が必要だ

コンビニ・フランチャイズはどこへ行く―「地獄の商法」?適正化への法規制が必要だ

 

 

 

お金を取るとコミュニティが活性化しにくい。

とあるシェアハウスの運営に僕は関わっている。住人の一人に沖縄からやってきた屋良くんという休学中の大学四年生がいる。端的に言ってしまえば沖縄でひきこもりをしていた青年だ。彼は吃音を持っていた。話すのが苦手だが克服したいということで他者と会話を訓練できる仕組みを作った。それが八王子ボードゲームクラブという主に海外製のアナログゲームを遊ぶ任意団体を作った経緯だ。他人同士が対面で遊ぶボードゲームは会話を何時間もしなくてはいけないからだ。ついでにちょっとしたお金を得るチャンスにもなる。参加料を500円取っているからだ。彼は両親から仕送りを貰っていないので利益はほんの少しだけ生活費にもなっている。だが基本的に参加費の大部分はゲームの購入に充てられている。つまり非営利団体に近い形を取っているということだ。

http://hachiohji-board-games.club/

 

f:id:muteki-force:20151122161954j:plain

上記画像は開始してから四ヶ月目に撮影したものだ。現在はもっと多くのゲームに囲まれて生活している。半年で80箱程度のボードゲームを手に入れることができた。またお客さんの好意でたくさんのボードゲームを無料で貸し出してくれたりプレゼントしてくれることもあった。搾取的に運営していないからこそ起きた相互作用である。

 

そして嬉しい誤算が僕たちの頭を悩ましている。彼の吃音が改善した頃にはコミュニティーが大きくなってしまったのだ。Twitterのフォロワー数は半年の運営で1600人を超えた。FavやRTされるツイート数も少なくない。県をまたいで来訪するお客さんもいる。八王子市の街中に健全なコミュニティーが形成されつつある。シェアハウスの7畳ほどの共用スペースを利用し、ボードゲーム会を開催しているのだが日によっては15名以上の人が集まるようになってしまった。室内の快適度は規模が大きくなればなるほど下がりつつある。*1

 

近所に専用の物件を借りたほうがいいのだろうか?店舗やオフィスを借りるとなると高額の賃料や光熱費がかかってくる*2。ランニングコストを計算し、参加料を高額にする、お酒や料理を提供すれば運営していくことは可能かもしれない。世の中に存在するボードゲームバーやボードゲームカフェを見ていると単価はだいたい2000円から3000円程度、一時間毎にチャージを取っているお店も少なくない。小さい子、老人、学生などは来れないコミュニティーになってしまうだろう。週一回、遊びに来るだけでも一ヶ月12000円のお金がかかってしまうからだ。ひょっとしたら来てくれる人達でも気の利いた洒落を利かした会話をできなくなるほど追われてしまうかもしれない。経営していくコストに追われて追いつき追われていくような日々に飲まれていくのではないだろうか。

 

社会学者の西田亮介さん、NPO法人育て上げネットの工藤啓さんの共著「無業社会」によると経済的余裕無い人間の居場所は図書館しかないそうだ。

一見毎日自宅でごろごろしている印象を受けるかもしれないが、そもそもそれ以外の選択肢がないことを見逃してはならない。当然ではあるが収入がないため、コストがかかる余暇を楽しむ経済的余裕はないだろう。

[中略]

若者に話を聞くと「図書館にいた」という言葉に多く出会う。確かに、資格取得のために勉強している若者も少なくなく、無料で読書もできる。利用に際してお金もかからない。

[中略]

毎日自宅にいることを選択しているのではなく、それ以外に選択肢がないこと。 

無業社会 働くことができない若者たちの未来 (朝日新書)

無業社会 働くことができない若者たちの未来 (朝日新書)

 

P104~106 2014

本著は若年無業者について語られているが、経済的余裕の無い人間は日本に大勢いる。パッと思いつくだけでも老人、障害者、在日外国人、学生、小さい子供達の貧困問題は至るところで問題視されている。

 

土日以外で気軽に遊びに行ける場所はほぼ存在しない。街にはシャッターを閉めたままの店舗が広がっているのに。スペースは余っているというのに不思議なことだ。学生から大人まで、無業者から障害者まで多くの人がいやすいコミュニティを作ることは出来ないのだろうか。数日前に読んだ木下斉さんの著書「稼ぐまちが地方を変える」で町の衰退は不動産屋オーナーの責任だと主張していた。 

いわゆる「シャッター通り」商店街 の多くも、実は特段困っていない。よくメディア等では「地方経済の衰退の象徴」といったイメージで捉えて報道しますが、必ずしもそう一面的には捉えられないのです。

表通りにある物件を閉めたまま放置しているのは、その不動産オーナーの生活に余裕がある証拠です。もし本当に経済的に追い込まれていたら、銀行に全て抵当として取られているはずです。余裕があるからこそ、物件を汚いまま放置しておけるのです。しかし、不動産オーナーが自分の生活が安泰だからといって、物件を汚いまま放置してそれが何軒にもなれば、地域の価値は下がります。私たちは、彼らのこうした無自覚な態度を「まちの公然猥褻」と揶揄しています。*3

 

 P77 2015

著者の木下さんは解決策として具体的な事業案を組み立て不動産オーナーを説得するしかないと主張している。土地の価値を高めていくのは不動産オーナーの公的な責任であり、 周辺地域の不動産価値のの上昇に繋がっていくことを説明する必要がある。もちろんそのためには周辺地域に投資する必要がある。投資するということは身銭を切るということだ。良い条件で貸与することを求められる。驚くべきことに賃貸平均価格はバブル崩壊後から現在に至るまで大きく変化していない。*4。素晴らしい事業案を提案したとしてもペイできる範囲の家賃で無ければ成り立たないからである。

 

また木下さんは不特定多数をターゲットにしたアイデアでは活気溢れる場所は作れないと主張している。

一点特化でビジネスが出来るのは役所が関わってないからこそです。

施設や店舗開発に限らない話ですが、行政が税金を使って事業をする以上、特定の誰かだけが優遇されるようなことは出来ません。高齢者を優遇すれば「生活は若者のほうが苦しい」という話になるし、若者を優遇すれば「福祉が不十分」と批判される。だからまんべんなく「コミュニティの場を」という発想にならざるを得ないのです。しかしウラを返せば、それはどの世代、どの属性の人にとっても特段必要ではないものになってしまいます。みんなが使うことを考えたがゆえに、誰も使わなくていいものになってしまうという罠です。

 

 P95~96 2015

行政の予算は期待せずに民間ベースで街を活性化すべきと木下さんは主張している。といっても街の名士や事業者は表面上は地域を憂う態度を取っているが実際に投資する方はほとんどいない。街を巡る人々の無責任体質を暴いてるのも本著の面白さの一つだ。

 

実はコミュニティに対する投資の概念は既に存在する。 それはSRI(社会的責任投資)という手法だ。CSR(企業社会責任)のコーポレート・ガバナンス向上を促 進する一手法として広く認識され、株式上場の大企業と証券会社などの金融機関を中心に実践が進められている。SRIの枠組みの一つがコミュニティ投資だ。残念ながら日本国内では盛んに試みられている投資方法ではない。

参考

コミュニティ投資と非営利組織の役 割一アメリカ・イギリス・日本の現状
小関隆志 via 明治大学学術成果リポジトリ

https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/670/1/keieironshu_52_3-4_261.pdf

宗教的・歴史的背景、短中期的な投資リスクが高いこと、大規模な事業に投資するのに比べ投資金額が小さくなるためスケール・メリットを享受することも難しい。またコミュニティ投資に関わる法整備が整っていないことも日本国内に普及しない原因になっている。例えば国外では法整備をされたことで公共と民間の出資で作られたコミュニティ投資専用のファンドが生まれていたりするのだ。

 

日本にはコミュニティ投資専用のファンドは存在しない。ただ安倍首相が掲げる地方創生の第一歩として地方創生関連2法が2014年11月21日に成立している。創生関連法は現段階では理念的な内容が多いが、投資関連の法整備がされていく可能性は十分にある。第二条の五「地域の特性を生かした創業の促進や事業活動の活性化により、魅力ある就業の機会の創出を図ること。」というように条文に書かれているからだ。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H26/H26HO136.html

 

僕は一つのアイデアを提示する。大企業がCSRとして僕たちの存在を支援するというのはどうだろうか。もちろん前述したようにコミュニティ投資のリスクは高いと言われている。しかし安倍首相が掲げる地方創生へのコミットメントにもなり、コミュニティを用いた広報活動もできるだろう。それこそシャッター商店街や地域衰退のスケープゴートにされている大型ショッピングモールを経営している企業が地域コミュニティの支援をすれば地域との軋轢を和らげることができるのではないだろうか。もちろん民間企業は利益を求める団体だ。大企業が地域社会に投資するのであれば見返りは行政よりも強く求められる。強く求められるということは関係者は無責任でいられないということだ。故に行政や地域社会などの無責任体質に陥りやすい集団が支援するより成功の可能性は高くなるはずだろう。ユニークなコミュニティが成功すれば、僕たちが運営している八王子ボードゲームクラブのように県外からやってくるお客さんも来るはずだろう。そして、コミュニティがさらに成長すれば快適なコミュニティを求めて近隣に引っ越してくれるお客さんが現れるのではないだろうか。もしそうなれば地方経済は活性化し、結果的に投資してくれた大企業の製品やサービスの利用数も増えるのではないだろうか。

 

相当甘い見立てであることは重々承知の上だ。たった一つの企業だけでも心を動かしてくれることを信じて僕たちに投資してくれる企業を探したいと思う。  

  

*1:参加者が多い日は別の部屋を使って何とか対処をしている。

*2:今借りている物件は大家さんの許可は得ているが基本的に居住用の物件でビジネスを行うことは一般的に嫌がれる。ビジネス用の物件は今日中用途の物件に比べると高額に設定してあることが多い

*3:結局そうなると広いコミュニティを運営することは不可能になる。少し前にこんなことがあった。某駅前繁華街にある個人経営のカバン屋が閉店した。初老の男性が所有している不動産物件で10坪にも満たない小さな店舗だった。通るたびに覗いていたがお客さんが入店しているところは見たことがなかった。閉店後は賃貸物件になったのだが家賃はなんと20万円だった。彼はそんなに稼げていたのだろうか。街はこうやって衰退していくのだ。そしてファーストフードとコンビニエンスストアに占領された街が出来上がる。それでいいのだろうか?

*4:もちろんニュースで報道されるように土地価格は大きく下落している。91年時の平均価格は70000万円近くあったが現在は25000円を下回っている。http://www.tochidai.info/