なつやすみ日記

猫のような日々

最近買った本

需要が曖昧な人文系の本はすぐ絶版になりやすい気がする。amazonだと両方とも倍額ですね・・・。

 

アメリカにおける消費と経済の歴史を語った本。反戦的な行為が好戦的な行為に転じたり、リベラルな思想の背景に極右的な思想があったり、反消費的な運動が消費的な活動になってしまったり、アメリカの文化の多くは二律背反的な動きをしている。元を辿れば白人が黒人を演じていたミンストレル・ショーに繋がってくる。黒人が白人を演じるケースもある。詰まる所、共犯関係によるものなんだけど、そもそも”黒人”はアフリカの様々な諸国から連れてこられ、”白人”もヨーロッパの様々な諸国からやって来た。イギリス人、フランス人、イタリア人、多種多様だったはずが、何時の間にか白人が作られていた。私たちが日常会話で"黒人"や"白人"と使用することが如何に奇妙なことか。そういうアメリカの文化背景は多くの本で書かれていることだが、本著はシリコンバレーと繋げて論じているのが非常に刺激的だった。ただし初版は2004年の古い本だ。技術とビジネスが革新されていくのが速いのがICTの世界だ。10年以上前の情報は古いと言わざるを得ない。ただ、米文学の文脈で語られているICTカルチャーの批評が日本に多くあるかと言ったらそんなにないんだけど・・・。

ヒップ アメリカにおけるかっこよさの系譜学 (P‐Vine BOOKs)

ヒップ アメリカにおけるかっこよさの系譜学 (P‐Vine BOOKs)

  • 作者: ジョン・リーランド,篠儀直子,松井領明
  • 出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク
  • 発売日: 2010/07/17
  • メディア: ?行本-精装
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最近一部で話題になっている論文。ルポルタージュとしても最高の出来です。自分が楽しいと思うことは自分が楽しいし、他人が喜ぶの顔が浮かぶものはなかなか自分が楽しめなかったりするんだよね。少し目線を変えれば自分が顧客になり自分が消耗しているのに気づくはずなのに、それを自己責任と言い切るには勇気が足りない。生きている時間すらもお金に換算されるように、演技も音楽も芸術も全てお金に換算される。それが資本主義の圧倒的な現実だ。現実を欺く構造や物語の存在が僕は邪悪だと考えているが、参加者の多くはそいつに気づかずに磨耗し傷ついて死んでいく。誰もが幸せになる権利を有するが自分の好きなものに裏切られ搾取されるのが日本の都市文化だ。ヒーローの足元には屍体が何体あるのかわからない。ベルセルクのグリフィスかよ。

http://fringe.jp/blog/archives/2015/06/28233107.html

都市の舞台俳優たち:アーバニズムの下位文化理論の検証に向かって (リベラ・シリーズ11)

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