ビートルズ元ネタまとめ
随分前に「くるりの元ネタまとめ」という記事を書きました。インターネット上にはビートルズの元ネタやトリビアがいろいろあります。でも、古いWebページの文章、海外のWebページ、SNSに投稿された文章、は検索に引っかかりにくいです。というわけで今回もサルベージが目的のまとめ記事です。元ネタを知っている人はコメント欄で教えてください。書き加えていきます。
Come Toggther→Chuck Berry - You Can't Catch Me
盗作騒動にもなりましたね。メロディが似ている。Come Toggtherは「here come old flat-top」と歌われている。Chuck Berryの You Can't Catchは「here come a old falt-top」と歌われている。歌詞もちょっと被っているみたいです。
Birthday→The Undertakers - Just A Little Bit
リフを借用。The UndertakersはBeatlesの面々と仲良かったそうです、メンバーのJackie Lomaxは後々アップルレコーズに在籍することになります。
Sun King→Fleetwood Mac - Albatross
これも有名ですね。1987年にジョージ・ハリソンに行ったインタビューでもアルバトロスに影響を受けたと答えています。特にリバーブがかかったギターサウンドに。
Beatles Songwriting & Recording Database: Abbey Road
I Feel Fine→Bobby Parker - Watch Your Step
リフの元ネタ。
The End→In A Gadda Da Vida - Iron Buttefly
あの有名なリンゴ・スターのドラムソロの元ネタ。6:30秒辺りから。ソースが怪しいけど・・・似ているのかな・・・?
Interesting to read that Ringo’s drum solo was developed during the recording sessions. I always felt that the solo was 95% like Iron Butterfly’s “In A Gadda Da Vida” released in 1968.
Maybe RIngo heard that drum solo somewhere and it crept into his subconscious…
Black Bird→J.S.Bach - Bourree BWV996
ビートルズのクラシックを使った元ネタと言えばBecauseの月光のソナタが有名ですね。Black Birdはバッハを改変した曲という印象です。下記動画で解説していますよ。
SHE'S A WOMAN→JOHNNY AND THE HURRICANES - Crossfire
1959年に米国でヒットした曲。元ネタはインストですが、これでShe's Womanが十分歌えます。
Lady Maddona→Humphrey Lyttleton - Bad Penny Blues
レディマドンナの元ネタ。Youtubeのコメント欄がLady Maddonaでいっぱい。ちなみにプロデュースとエンジニアリングはアウトサイダーミュージシャンのJoe Meekさんです。
国内音楽ブログまとめ(インディロック系)
以下のブログを読んで個人的にまとめておこうと思いました。
ブログ
英語・日本語の記事を同時に載せている。帰国子女が執筆している?NMEやBBCでは取り上げるけど、日本国内では全く取り上げないインディロックを扱っていておもしろいです。
国内のミクステ紹介しているブログの定番。
ミクステ。ヒップホップ中心。でも、インディロックもしっかり押さえてある。定期的なミクステまとめ記事が助かる。
ディスクユニオン新宿中古センターのスタッフによるブログ。
ヘヴィメタル多め。筆者にスフィアン・スティーブンスが好きだと言ったら「インディ 厨め!」と吉祥寺の飲み屋で茶化されたことがある。
存在が疑念視されているが、ココナッツディスク系というジャンル(?)があるらしい。吉祥寺にあるレコード店のブログ。潮の香りがするものが多い気がしなくもない。東京のインディロックの情報ならまずここですね。
音楽ブログか?と問われたら違うのかもしれない。音楽が好きな人の日記。私語り系のブログでは一番好きかも。
チップチューン専門のポータルサイト。更新頻度は高くないけど、チップチューン関連のサイトは海外が多いから国内にできるのはうれしい。
面白いのがあったらコメントで教えてください。自分のブックマーク代わりに適当に更新していきます。
自分達の地図を描くことについて
読了しました。面白かった。
![遊びつかれた朝に──10年代インディ・ミュージックをめぐる対話 ([テキスト]) 遊びつかれた朝に──10年代インディ・ミュージックをめぐる対話 ([テキスト])](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51FbsjFRGTL._SL160_.jpg)
遊びつかれた朝に──10年代インディ・ミュージックをめぐる対話 ([テキスト])
- 作者: 磯部涼,九龍ジョー
- 出版社/メーカー: Pヴァイン
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (8件) を見る
インディシーンを、銀杏BOYZを中心に、00年代を振り返りながら10年代を語っていく内容の書籍です。新宿紀伊国屋で開催したプロモーションイベントにも遊びにいってきました。
プロモーションイベントでは本書の最終章である「地図を描こう」を中心に話が進められていた。ここで定義する地図とは渋谷、池袋、新宿、吉祥寺など特定の地名を指すものではなく、個人と個人を結びつける匿名性の高い地図のことを指す。かつては特定の地名が何かを指すものであったが現在では徐々に壊れつつある。例えばそれはユースカルチャーの最先端であった渋谷であったり、コアなハイテク機器が揃う街であった秋葉原がテーマパークしていくにつれて、大きな資本が参入し、個人が参入しづらくなってしまうことが背景にある*1。渋谷には地方都市にも存在するようなショップだらけになってしまったし、秋葉原は大手家電量販店が割拠することになった。資本が参入することで家賃の高騰と流入してくる他文化(資本や国家権力)によってそれは起こされるのだろう。
ただ、資本が参入したから個人でインディペンデントな活動していた人間が急に死ぬわけでない。もちろん、みんな生きている。そのような人達はWebサイトを設置してインターネットという場所で活動を続けたり、家賃が安い別の地域で店舗を経営することなどになる。例えば、僕が好きなインディ・ミュージシャンはフラットスペースと呼ばれる場所で演奏することが多いんだけど、フラットスペースは都内にも都下にも点在している。南池袋ミュージックオルグ、神保町試聴室、神保町スタジオイワト、吉祥寺キチム、三鷹おんがくのじかん、砂川七番にあるgallery SEPTIMA、八丁堀七針・・・etc.*2上記の場所で同じミュージシャン同士が共演をすることが多い。一見、内輪のように見えるし、内輪であろうとする人達が多くいるのは事実だが、単純に内輪であると論じてしまっていいのだろうか。かつてバンドマンが中央線沿いに住み高円寺に集まったように彼らも特定の意思を持って集まっているのだ。ただ、それを地名で表すことは出来ない。どこにも存在しない地図を彼らが作ったからである。
磯辺「だから、「東京に根ざした音楽」というものは、この街が歴史のない都市である以上、「東京」という「面」の単位では生まれ得ない。ceroがおもしろいのは、自分たちや家族、友達、そして好きな音楽の歴史を育んだ東京の「点」の単位で地に足をつけて、それらを繋いでいくところで。」
九龍「彼らには「音楽で旅をする」っていうコンセプトがあるよね。それが小旅行なのか大航海なのかはわからないけど、その軌跡を見せてくれるところがおもしろい。すべての音楽は出揃って、すべてのものが用意されているように見えるんだけど、そのぶん状況はどんどんドメスティックになっていて、みなあまり旅には出ていない、ということをよく知っている。」
磯辺「東京が架空の街であることは前提として、そこに自分たちなりの地図を描いていくということだよね。東京は噓くさいけど、自分たちの手で描いた地図だけは生々しいという。」
九龍「そうそう。次どこに行くかはわからないし、もしかしたら座礁してしまうかもしれないけど。それは坂口の『ゼロから始まる都市型狩猟採集生活』で繰り返した、都市の隠されたレイヤーを発見するということでもある。」
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遊びつかれた朝に──10年代インディ・ミュージックをめぐる対話 ([テキスト])
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P219-220
磯辺氏は東京は災害や開発によって何度も塗り替えられてきた街であり、○○の街という変数自体に歴史がほとんど存在しないため嘘くさいと看破していた。ceroというバンドの面白いところは自分たちの両親や友達が街と地続きであることである。ceroを知らない人のためにceroというバンドを紹介しておくと、Contemporary Exotica Rock Orchestraを頭字語 にしたものがceroである。直訳すると"現代的で異国風なロックオーケストラ"。インターネットによって全世界の音楽が並列化して聞こえるようになったいま異国とはどこなのか?それはファンタジーの世界、架空国家である。あらゆるライブラリのアクセスを消化して、どこにもないような土地を彼らなりに旅を続ける。僕や君にとってはおとぎの国に見えるかもしれないが、彼らが旅を続けている場所は現実に存在する東京である。他者にとっては架空の東京、本人達にとっては現実の世界で鳴らす音楽がceroである。
cero / Yellow Magus【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube
インディ界隈では絶大な支持を集めCOUNTDOWN JAPANにも出演しているが、一向に大ブレイクしないのもおそらくここにあると僕は思っている。自分たちで作った地図は一部の人にしか読み解けないからだ。『下北沢はお洒落な街』と言った地名とステロタイプは誰にでも読み解くことが出来るが、『阿佐ヶ谷roji、高城晶平』と書いても外部の人間は何のことだか理解することは出来ない。インディに興味がある人は「ceroのメンバーとそのお母さんが経営しているお店だよね」と即時に理解するだろう。誰でもアクセス可能な地図ではないのだ*3。
自分たちの地図を作るってむっちゃわかる。でも、地図を作る能力がある人ってごくごく一部だよなあーって思う。
— tyaka (@tyaka) 2014, 6月 4
作る能力もそうだし、読む能力もおそらく一部の人達だけしか持たない。持たざる人達は面白い物を知ろうと思っても大手広告代理店が宣伝したものしか手に出来なくなる*4。同じような人生、同じようなライフスタイル、同じような服装、そちらのほうが企業にとっては効率的で都合が良いのだ。
ただ、そういった環境に身を委ねていたとしても、企業の論理と上手く折り合いを付けることは可能だ。非常に面白い話が一つある。プロモーションイベントの時に、ゲストで来ていた編集者の北沢夏音さんの発言で知ったことだけど、大分県のタリーズコーヒーでライブイベントを企画しているという店長さんがいるそうだ。全国チェーン店のタリーズコーヒーですよ!そこに前野健太さんを招聘したそうだ。
Live archive
2014年4月18日 (金)大分・タリーズコーヒー大分中央町店
大分県大分中央町付近にはイベントスペースがほとんど存在しないそうで店長さんのご好意で市民に場所を貸したり、イベントを企画していたりするそうだ。検索したらワークショップ等もやっているみたいだ。もちろんタリーズ本社との調整が大変だったらしいけど*5、政治力に優れた人はどこにいても自分や市民達の個性を活かすことが可能なんだろう。好例だと思う。
結局、自分や誰かのために地図を描くことは個人の裁量次第なのかもしれない。ファスト風土化されていき、街と街の違いが無くなって独自性が消え去ったとしても、そこに住む人達は死にはしないし、大企業に取り込まれていたとしても、誰かのために地図を描くことは出来る。たぶんそれは大それたことじゃなくてもいい。友達に誘われてアパートに集まって友達の知り合いの弾き語りを聴いてYoutubeを見ながらおしゃべりをしていたら、その知り合いがちょっとした有名人にだってなっていたりする*6。誰かと遊んで楽しいことを共有していけば自然と地図は広がっていくのだ。そして、それが他の人の地図と繋がったら素晴らしいことだと思う。別に他人の地図は読めなくたっていい。自分で作っていっていつか繋がればいいからね。人間関係なんてたかが六次の隔たりさ。安心しなよ。すぐに繋がるさ。
Twitterやっているよ!
*1:もちろん渋谷にも秋葉原にもコアな店はたくさんあるが、テーマパーク化すると家賃が高騰して個人が参入し難くなる側面は否定出来ない
*2:ここにあげた以外にもココナッツディスクなどのインディペンデント系レコードショップでインストアイベントを行うことも多い。
*3:インディバンドの多くがアクセス不可能な地図(文脈)で遊び続けて自己免疫不全状態に陥っているのも事実だけど、それでもceroは地図を外部に拡張し続けている姿勢が僕は好きなんだ。急に大ヒットなんかしなくたっていい。徐々に外へ広がっていくのを見ていたい。
*4:インターネットによって誰もが情報を得る可能性が広がったと思ったが、SEO対策に巨額を投じられる組織が圧倒的に有利という現実がある。Naverまとめかamebloかlivedoorブログの2chまとめばかりが出てくることからもね
*5:イベントのために一時間閉店を早めたことが問題になっていたりする。
初音ミクはアマチュア音楽家を救った。
音楽ライターの柴那典さんの『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』が最近発売されました。Real Soundの記事も話題になっていますね。
http://realsound.jp/2014/04/post-411.html
http://realsound.jp/2014/04/post-416.html
初音ミクはいかにして真の文化となったか? 柴那典+さやわかが徹底討論
初音ミクについて俯瞰的にまとめられた書籍で、今から初音ミクについて知るにはとても良い本です。ただ、記事も書籍も社会的な言説や初音ミクによって成功した人のことが中心だったので、僕は普通の人の創造性について語りたい。もちろん本書でもそのことに触れてあるので紹介しながら僕が思ったことを書いていきたい。その一つはクリプトンの伊藤博之社長へのインタビューだったわけだけど、初音ミクが存在していなかったらlivetuneやSupercellだって誰にも知られていなかった可能性は高かった。
そうですね。だから、昔のようにCDを沢山売ってビジネスにするというのはこれからは、正直それほど簡単じゃないかもしれません。けれども、お金という価値を生むことができなくても、人の才能とか素晴らしさに気づく機会はインターネットによってより、沢山生まれていると思うんですよね。今までだとCDを買ってくれた一万人にしか届かなかった音楽が、動画を見てもらうことで100万人に届くようになっている。僕はそこに活路があるのかなと思っているんです。
初音ミクはなぜ世界を変えたのか?p282-p283
創作の楽しさはお金では変えられないものがある。まるで薄っぺらい自己啓発書にでも使われてそうな言葉だ。ただ、この世界に生きる人間は少なからず創作行為をして生きている。誰かに教えてもらったことを自分に合った方法に変形させて実行している。創作が出来ない人間は、生まれたての赤ん坊くらいなものだ。その赤ん坊が言葉を教わり、様々な言葉を組み合わせていった瞬間から創作がはじまる。そして、それは彼が死ぬまで終わることはない。自分の好きな言葉を他人に伝えるために様々な言葉を組み合わせて文章を創造していく。料理を作るときに、レシピ通りに作っていたら、好きな女の子の舌に合わせることなんて出来ない。レシピと自分が知っている女の子の好みをミックスして料理を作るだろう。そこにあなたのオリジナリティがあるんだ。何かと何かを自分なりに組み合わせる行為、それが創造性と呼ばれているものだ。ちょっと難しい言葉を使えばブリコラージュで、誰でも知っている言葉なら引用で、音楽が好きな人ならリミックスだ。
文化によって言い方は異なるけど、文化によってはそれが許可されていたりいなかったりする。文筆家が参考文献から引用することは法的に認められているけど、音楽家が他人の作品からサンプリングして作品を売ると様々な法的な問題が起きる。奇妙なことだ。その差はなんだろう?上記のURLでプレゼンテーションをしているローレンス・レッシグはこう表現している。
この質問への完全な答えはわたしの手に終えないし、したがってここで本書の手にも負えない。でも、その糸口ぐらいはつけられる。こうした表現形態には明らかなちがいがある。ここでの趣旨から見ていちばん重要なのは、この種の「著述」が歴史的に持つ民主主義上のちがいだ。文章での表現は、みんなが教わることだが、映画作りやレコード作りは、二十世紀のほとんどにおいて、プロしかやらないことだった。つまり、映画や音楽では引用に許可が必要な仕組みを想像しやすい。そうした仕組みは、非効率かもしれないが、少なくとも実現可能ではある。
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- 作者: ローレンス・レッシグ,山形浩生
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2010/02/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 73回
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REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方 P48
本書の内容は新しいエコシステム*1にあった法体系を整備すべきだとローレンス・レッシグは主張している*2。古代、文字を書けるのは一部の貴族だけだったし、多くの人が文字が書けるようになっても、公の場に文章を発表出来る人はほんの一握りだった。インターネットが普及して、みんながブログやTwitterを使って自分の言葉を表現する出来るようになっている。音楽もそうなのかもしれない。ひょっとしたら全ての文化がそうなのではないか。ブログに関してもう少し突っ込むと、ブログが生まれてつまらない文章も莫大に発生させたが、多くの優れた文章が生まれ、多くのプロのライターを生んだ。彼らは古代に生まれていたらその才能を発揮出来ていたのだろうか・・・?
「どんなものでも90%はカスである」というSF作家シオドア・スタージョンが残した格言がある。これは「スタージョンの法則」と言われていて、もちろんこれは皮肉だからパーセンテージには何の裏付けもないんだけど、彼の格言は正しいと感じることは多々ある。スタージョンの法則を日本の人口比に当て嵌めれば、約一千万人は文章を書く才能がある。そして、ブログはそれを発掘した。音楽に関してもそうだ。名曲を作れることが出来るのは極一部の才能がある人だけで、その人達だけがステージで光を浴びることが出来るというふうに。初音ミクによってその幻想を破壊された*3。名曲を作ることが出来る大量の作曲家を発生させたのだ。一部の人達のものだけだった物語を奪い返した瞬間だったと思う。もちろんそこからlivetuneやsupercellみたいにメジャーデビューしてプロフェッショナルになった人間もいるけど、そうではない、評価されずに、誰にも知られることなく死んでいった作曲家達が初音ミクによってどれだけ救われたのだろうか。その人が楽器の習得や作曲に費やしてきた膨大な時間が報われたんだ。もしそれが報われなかったらその人はどうなるのか?そんなの決まっている。絶望だよ。音楽は嫌いになってあれは単なる幻想だとか夢だとかそんなふうに思い始める。そんなの悲しすぎる。音楽が好きな人なら、多かれ少なかれそんな人は近くにいるだろう。そして、20代も後半を過ぎればそんな人で溢れ始め、気づいたら死屍累々だ。これは精神的にも文化的にも豊かであるのだろうか。僕は決してそうは思わない。
「ただ、そこでお金が儲かる、産業になる保証は出来ないですよね。認められた時には何らかの形で収入が舞い込んでくるかもしれない。でもその保証はない。僕らは、クリエイターに『お金が儲かるからやりましょう』と言ったことは一度もないんです。そういう言い方ではなくて、なんか面白いから、楽しいからやってみようよ、それによって自分のやりたいことが見つかるだろうし、いろいろな人とコミュニケーションできたら楽しいし、いろんな人に感謝されたら嬉しいよね、ということなんです。お金が儲かるっていうだけがクリエイティブの唯一のゴールではなくて、人に喜ばれるとか、感動させるだとか、それによって自分にできることが増えていくこともゴールとして捉える。この先に音楽の原盤でお金を儲けることはたぶん難しくなっていくと思いますが、お金以外にも自分の生きがいを見つけることはできる。それだけでもやる意義があるのかなと思うんです。そして、ここから先は単なる直感ですけど、お金という概念がいつまで世の中の主流であり続けるかもわからないですね。情報革命の行きつく先は、価値のパラダイムシフトだと思っていますから」
初音ミクはなぜ世界を変えたのか?p286-p287
まだ僕たちが生きていくためにはお金は必要だし、音楽を作ることだって楽器を買ったりしてお金はかかる。でも、その人が発表した曲がお金にならなかったとしても誰かが喜んでくれたら、その記憶は生きていくための支えにはなるのではないのか。それはほんの些細なものかもしれないけど、長い人生の中で生きていくための力になるはずだ。曲を作る人がいて、曲を聴く人がいて、お互いの人生に意味が生まれる。自分が楽しい、かっこいい、ヤバいって思って作ったものが社会に残るってすごいことじゃないのか?だからこそ作っていくんだ。みんなクリエイターだ。*4
初音ミク 『tilt-six / overwriter』 - YouTube
Twitterやっているよっ!
バンドもやっているよ!
https://twitter.com/bakamitai_info
https://soundcloud.com/bakamitai
*1:ReadWrite文化、共有経済と彼は定義している。対義語はReadOnly文化、商業経済。後者は一般的なクリエイターとリスナーの二項対立で、リスナーは聴くだけなのでReadOnly、前者はクリエイターとリスナーの二項対立は曖昧で誰もがどちらの役割を果たせるようになる。古くは口承文化で、現代ではヒップホップ、オープンソース、ニコニコ動画等でReadWrite文化を見ること出来る。
*2:初音ミクに関しても、二次創作(柴さんの著書では濱野智史氏の提唱しているN次創作を用いているけど)はクリプトンフィーチャー社がPCLという独自のガイドラインを提唱するまではルールが存在しなかった。http://piapro.jp/license/character_guideline
*3:もちろん初音ミクだけではなくて、マルチネ等のネットレーベルも。
*4:Everyone,Creator,2012年にGoogle Chromeのプロモーションに採用されたキャッチコピー。livetuneのTell Your Worldが使用されて話題になった。