なつやすみ日記

猫のような日々

本気で音楽で食っていくために音楽を売る方法

本気で音楽で食っていくために音楽を売る方法 

僕のライブハウス時代からのバンド仲間がツイッター
「ライブハウスで500円のビールやジュースみんな呑んでるのに、500円の音源すら売れないってキビしすぎるよね。」「音源の価値低すぎるだろっ」「ビール以下、という現実」
ってつぶやいてました。
http://www.sleepyheadjaimie.com/blog/?p=7557&buffer_share=ad454

色々難しく書きましたが、おわりに、それを全てシンプルに1行でまとめてみます。
その500円のCD(-R)が売れない理由、上記を全てまとめると実は一言で済みます。

「本気で、それを売る事を商売として、食っていく気が無いor足りないから」

その一言に尽きると思います。
http://www.sleepyheadjaimie.com/blog/?p=7557&buffer_share=ad454

 それでは本気で音楽で食っていくために具体的に音楽を売る方法について書いていきます・・・・・って完全に釣りタイトルです。すいません。金銭的な物を得たい人はいますぐctrl+wでこの記事を閉じてください。もしくはアイドル結成して握手権付けてCD売ってください。そういう記事でないことをお断りしたいです。あと、そこそこ人気がある人達も除外です。この記事は平日のライブハウスでブッキングライブをするような底辺についての音源について語ります。

 音楽好きな人の周りには少なからずバンドをやっている人というのはいると思います。それで、ライブ告知なんかをメールとかtwitterとか(かつてはmixiとかで)受け取っているかと思います。気が向いて、そのライブに行こうものなら大概酷い目にあいます。つまらない楽曲、全く聞こえないボーカル、チューニングがあってない演奏、無駄に大きいギター、踊れるようなビートでなく、故に足が疲れるのに、会場にはロクに椅子もない。MCで「音楽いつまでもやるよ!」とかなんとか言っているけど、この場にいる客は簡単に数えれるほどまばらで、おまけに年齢層も若く、おっさんおばちゃんは誰一人いない。というか、出演者側にもおっさんいないし、こういうセリフ吐く奴は昔から多いと思うけど、まず目の前の現実がぜんぜん違うだろ、という突っ込みを毎回している。安くないチャージ代で映画も見れたし、CDも買えたし、呑みにもいけたのにこの空間は一体なんなんだ。そして、ああ、ここはゴミ捨て場なんだと感じることになる。来てくれているお客さんは完全に出演者の知り合いで、ああこれが駄サイクルなんだ。
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20070623/1182538861

 ライブ会場では、大抵の場合そのバンドの音源をCD-Rで500円とかで音源を売っている。CD-Rならいいけど、CDを300枚プレスして一枚1500円で売ろうとして、ほとんど売れずに大赤字というのも、今昔よくある話だと思う。誰もがスマートフォンで無料で音楽が聴ける時代によくやると思う。バンドマンはお金を儲けたいのか?ライブハウスは営利活動の場所だからチャージは当然取るし、故にCDも売ってお金を稼ぐ?

 「いやいや、お金儲けじゃないよ。CD-Rを無料配布しているよ」という意見もあるだろう。でも、そこは営利活動をしているライブハウスという場所である以上、リスナーが総合的にお金を払っていることには変わりはない。やっぱりお金儲けなのか?君たちにとって音楽はお金儲けが目的なのか?

 いや、違うでしょ。バンド活動をする理由は誰かに自分のメッセージを届けたいからしているんじゃないのか?ただ楽器を弾いて楽しむことだけなら、貸しスタジオで思う存分出来る。でも、CD-Rを売るということは誰かに自分のメッセージを伝えたいという想いがあるからではないか。だからこそ、それを伝えるために高い出演料を支払いライブハウスで演奏しているのではないか?誰かに聞いてほしいから、自分のメッセージを。

 たぶん、これを真剣に意識している人はおそらく少ないと思う。誰もが真剣にメッセージを届けようと意識しているならば、お客が数人で、しかもその客は目当てのバンドを見たら即帰るという状況はないはずだろう。そういう状況化でCD-Rを売っている。もしくは無料配布しているが、それでも手に取って行く人はまばらだ。メッセージを届けることに失敗している。誰もが君の言っていることに興味がない。では、どうするか。

コミュニケーションを取ること。

 まず大前提として、聞いてくれる人とコミュニケーションを取らなくてはいけない。誰かと会話していても、自分の趣味の話しかしない人とかって退屈でしょ?あとは質問攻めの人とかもそうかな。コミュニケーションとは相互間の関係が成り立っていないと心地よくない。よく、自己実現とか自分のやりたい音楽とか言う人がいるが、それが他人の望んでいるものと合致することはまれだ。なぜなら、リスナーである僕や君は自分の聞きたいものを主体的に選択しているからだ。他人の聞きたいものに興味があるわけがない。他人が僕たちに向けて心地良いものを向けてくれるものを選択しているに過ぎない。芸術家の坂口恭平さんの言葉を借りるならば「自己実現は何も実現出来なくて、実現出来るのは社会実現だけだ」と言っている。彼の言う社会とは他者のことである。

他人に受け入れられよう。

 他人に向けて音楽を発信すること、その上で好きなことをすればいい。これは表現を行う人間全員に通じることだと思う*1。別に媚びろとかそういうことを言っているのではない。メッセージは暴力的なものだっていいし、性的なことだっていいし、近所の野良猫がかわいいとかだっていい。でも、それが伝わらないと単なるオナニーなんだよ。ライブハウスという他者の目に触れる場所でやる以上、誰かに伝わるようにしないといけない。演奏者に与えられた優先事項を見誤ってはいけない。第一条件は他人がどうやったら面白いと思ってくれるか考えること。第一条件を満たした上で、二番目から自分のしたいことを考えられる余地が与えられる*2

伝える方法を考える。

 これはそれぞれがアイデアを考えるべきだと思う。たぶん、皆が考えたら沢山あると思うし、それを実行していけば素敵な音楽がたくさん生まれるはずだ。そもそもCD-Rを売らなくたって君の音楽を誰かに伝えることは可能だ。Youtubeニコニコ動画SoundCloud、BandCamp・・・・そういう自分たちの表現を見せるための場所は無料でインターネット上にたくさんある。リスナーとして僕が面白いと感じるのはYoutubeで顔出しでカヴァー曲の動画をあげたり、面白いパフォーマンスをしたりとか、楽器メーカの新商品で楽曲を作ったりとか、動的なコンテンツとしては面白いと思う。そういう動画をあげている人達は自分のWebページも公開していることが多くて、僕はそこを覗いたりして楽しんでいる。そこで、SoundCloudにアップロードされている曲を聴いたりすることも少なくない。他人が面白そうだなって思ったものから、自分の表現を見てもらっていると自分でこれを書きながら思った。結論を書くと、やはり他人のためにしていない表現はおそろしく退屈ということだ。

 そういった場所で一定の評価を得てから、安くないチャージ代を払って見に来てくれるお客さんのためにライブハウスで演奏して、CDでもTシャツでもステッカーでも好きな物を売ってもいいんじゃないのか。

 2011年当時、王舟というCD-Rしか出していないバンドがトクマルシューゴさんが主催するトノフォンというイベントに参加していたとき、彼らのCD-Rはあっという間に売り切れてしまった。実力があれば売れるんだよ。ビールの値段がどうこうとか、チャージ代を理由にCD-Rが売れないというのはある意味ナンセンスなことかもしれない。こういう現象を見てしまうとね。
http://tonofon.bandcamp.com/track/new-song-at-nagi

*1:アウトサイダー・アートとか他人のことを全く考えていないジャンルもある。でも、それは社会からはじき出された人の奇跡のようなアートだから、それを標準と捉えることはかなり危険だと思う。ちなみに僕はダニエル・ジョンストンとJandekが好きです。

*2:自分のしたいことを最初に考えて、それをどうやったら他人に伝わるように変化させていくか、というのもあると思う。 どちらにせよ、他人のことを考えていない音楽はほとんどが聴くに堪えないものであることは間違いない。