なつやすみ日記

猫のような日々

Makerムーブメントとパンク文化

ArduinoやRasberry Piに興味が出てきた。以前から興味はあって、MakeInstructablesを眺めるのは好きだった。もちろんサイトに掲載される作品は玉石混交だけど、石の中にも晴天を突き刺すようなとんでもない創造性のエネレギーがあったりする。不思議なことだと思っていたんだけど、 Make:PROJECTSの書籍をパラパラと眺めたら謎が少し解けたかもしれない。

古典的な工学は、A地点からB地点へ向かう厳密なプロセスに依拠しています。一方、 Arduino 流のやり方は、道に迷ったあげくC 地点にたどり着いてしまう可能性を楽しんでしまいます。 これが私たちの愛するtinkeringのプロセス̶ 開放されたメディアで遊びながら予期しないものを探す行為です。また、そうした探索の過程で、ハードとソフトの両面から試行錯誤を繰り返すのに最適なソフトウェアパッケージを見つけました。この章では Arduinoの流儀に影響を与えた哲学、出来事 、そしてパイオニアたちを紹 介します。

Arduinoをはじめよう!5p

 

Arduinoをはじめよう 第3版 (Make:PROJECTS)

Arduinoをはじめよう 第3版 (Make:PROJECTS)

 

 tinkeringというのは試行錯誤を意味する英単語で、ヌーヴェルヴァーグの監督たちはtinkerersと呼ばれていた。A地点からB地点までの正確な設計図ではなくて、いじくりまわしたり、バラバラにしたり、パッチをつないだりしながら、試行錯誤を楽しみ、C地点にたどり着く。ギターのペダルのつまみを弄るような感覚で作っていくのがArduinoの流儀だそうだ。

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Arduinoをはじめよう!11p

パンクの精神性は音楽性でもなく意図的な態度でもなく・・・もちろん派手な服装や髪型のことではない。如何に子供達に「君もできるよ」と教えてあげることがパンクの本質だ。子供が自分にはできないと失望したとき彼らの意欲は雲散霧消する。

ラスマス:今どきのゲームの中には,エンジニア数百人がかりで3Dエンジンやらレンダリングやらを駆使して作ったものもあります。子どもにとって,プロが作るようなゲームはとうてい自分には作れないと思い知ることほど意欲を損なうものはありません。「これなら自分にもできるよ」と言えれば,おおいにやる気が出るのです。今では私にもゲームを書くなんてとても無理ですね,少なくとも市販品と比較できるようなレベルのものは。

gihyo.jp

パンクを言い換えるとD.I.Y( Do It Yoreself)*1になる。更に言葉を変えると超越主義になるのではないか。米国の個人主義の思想の源流だ。近代的な価値観において、つまり、工業社会において自分で製品を作る必要はない。なぜならば工場が作ってくれるからだ。といっても不思議なもので人間は何かを作りたがる。仮にそれが工場で作られる製品より劣っていようとも。

 

Makerムーブメントはパンクと地続きなのだ。ぼろぼろのガレージから様々な怪物バンドを生み出した。ガレージから創業した会社が世間を席巻している。原動力は「自分でも作れる」だ。性能や洗練度は稚拙なものでもいいから、プロトタイプならば作れることができる。面白いプロトタイプができれば性能や洗練度を高めて製品化してくれる大人達に頼ればいいからだ。そう。夢があるのだ。

 

自分自身で作る。それは希望に満ち溢れた行為かもしれない。コンバインだって自分で作れるんだぜ。最高。

www.instructables.com

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追記

『Maker is You!』というD.I.Yのキュレーション・メディアを立ち上げました。面白いものづくりを紹介していきます。よろしくおねがいします。

http://www.maker-is-you.xyz/

 

*1:ちなみにD.I.Yという単語はイギリスで用いられる。Do It Youreselfと省略しないで発音するのが米国式だ。

僕たちは平然と自分に嘘をつく

大学時代の友人逹と久しぶりに会った。同級生のTくんはお笑い芸人を目指していた。活動内容は主にライブ活動だ。売れないお笑い芸人同士で企画を組み、ライブハウスでイベントを行う。Youtubeに動画をあげたり、面白い記事を書いたり、ライブ活動以外の営業活動には熱心ではなかった。あくまでも仲間内での興行がメイン。

 

興味深い発言をTくんがした。

「テレビに出ている芸人より売れていない先輩芸人のほうがおもしろいのに!」*1

僕の人生で聞いてきた様々な言葉を思い出した。「あの人のほうが絵がうまい」「あんなやつより良い音楽やっているのに」「あいつよりおまえのほうがモテるよ」などだ。

残念ながら彼らが報われることはなかった。僕が知らないだけでどこかでうまくやっているのだろうか。少なくともそれは”共感”という欺瞞で誤魔化され続けられたものだ。人間の感覚は非常に良い加減な作りになっている。例えば、自動車の時速40kmと自転車の時速40kmは体感速度が異なる。高速道路から一般道に切り替えた際、感覚は奇妙なエラーを起こす。時速80kmの速度がまるで時速40kmにしか感じないのだ!高速道路の出口付近で警察官が取り締まりをよくしているわけだ。

 

体感速度は多くの人が知っているし、気をつけていることではあるが、奇妙なことに他のことにはあまり関心が持たれていないことがほとんどだ。僕たちは公共の場所で他人がしている笑い話にクスりとも笑えないのにね。*2

 

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大東京トイボックス5巻143ページより抜粋

大東京トイボックスはゲーム制作会社が舞台だ。

自分たちの感覚は良い加減だし、どこまでいっても主観的に捉えることしかできない。客観的に捉えるというのは自分自身を疑うことであり、自己を不安にさせることでもある。だからこそ、何かしらの製作物に関わる人間は猜疑心と戦うことになる。耐えられない人間は自身に嘘をつき安寧を得る。

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大東京トイボックス5巻144ページより抜粋

何度も何度も読み返したり、テストプレイをしたり、編集をしたり、作品を練りこんでいくうちに感覚は変容する。僕の経験で恐縮だが楽曲制作の際に不協和音やリズムの狂いですら、心地よく感じるようになってしまったことがある。恐ろしいことに人間の脳は辛いことも心地良い方向に流れていくような仕組みになっているのだろう。そして、集団内でジワジワと受容するようになり、気づいたときには駄サイクルが完成する。

 

自分や他人の感覚はあてにならないし、数値化したものが頼りなるのだ。そんなことは言わずもがなで、世の中でお金を稼いでいる会社や集団は理論や統計的なデータを元に動いている。抽象性が高くなるほど、自動化も進み、市場に似たようなものが溢れていく。そして金太郎飴状態の閉塞性を切り開いていく人達がいる。統計や理論に縛らない感覚で動くギャンブラー逹が新しい文化を作っていくのだ。ひょっとすると「売れていない人達のほうが面白い!」という神話はこのような側面からかもしれない。

 

大東京トイボックス (1) (バーズコミックス)
 

 

*1:Tくん曰く、ライブ活動をしている芸人からはインターネットで活動している芸人はダサいし、実際にライブをするとつまらないそうだ。なんというか絶句。

*2:むしろ不愉快になることのほうが多いのではないか。故に電車内でおしゃべりはマナー違反になる。みんなが楽しめる馬鹿話だったら規制する意味はないからだ。

ビートルズ元ネタまとめ

随分前に「くるりの元ネタまとめ」という記事を書きました。インターネット上にはビートルズの元ネタやトリビアがいろいろあります。でも、古いWebページの文章、海外のWebページ、SNSに投稿された文章、は検索に引っかかりにくいです。というわけで今回もサルベージが目的のまとめ記事です。元ネタを知っている人はコメント欄で教えてください。書き加えていきます。

 

Come Toggther→Chuck Berry - You Can't Catch Me

盗作騒動にもなりましたね。メロディが似ている。Come Toggtherは「here come old flat-top」と歌われている。Chuck Berryの You Can't Catchは「here come a old falt-top」と歌われている。歌詞もちょっと被っているみたいです。

Birthday→The Undertakers - Just A Little Bit

リフを借用。The UndertakersはBeatlesの面々と仲良かったそうです、メンバーのJackie Lomaxは後々アップルレコーズに在籍することになります。

www.youtube.com

 

Sun King→Fleetwood Mac - Albatross

これも有名ですね。1987年にジョージ・ハリソンに行ったインタビューでもアルバトロスに影響を受けたと答えています。特にリバーブがかかったギターサウンドに。

Beatles Songwriting & Recording Database: Abbey Road

youtu.be

 

I Feel Fine→Bobby Parker - Watch Your Step

リフの元ネタ。

The End→In A Gadda Da Vida - Iron Buttefly 

あの有名なリンゴ・スターのドラムソロの元ネタ。6:30秒辺りから。ソースが怪しいけど・・・似ているのかな・・・?

Interesting to read that Ringo’s drum solo was developed during the recording sessions. I always felt that the solo was 95% like Iron Butterfly’s “In A Gadda Da Vida” released in 1968.
Maybe RIngo heard that drum solo somewhere and it crept into his subconscious…

http://www.beatlesbible.com/songs/the-end/

 

www.youtube.com

 

Black Bird→J.S.Bach - Bourree BWV996 

ビートルズのクラシックを使った元ネタと言えばBecauseの月光のソナタが有名ですね。Black Birdはバッハを改変した曲という印象です。下記動画で解説していますよ。

www.youtube.com

SHE'S A WOMAN→JOHNNY AND THE HURRICANES - Crossfire

1959年に米国でヒットした曲。元ネタはインストですが、これでShe's Womanが十分歌えます。

www.youtube.com

Lady Maddona→Humphrey Lyttleton - Bad Penny Blues

レディマドンナの元ネタ。Youtubeのコメント欄がLady Maddonaでいっぱい。ちなみにプロデュースとエンジニアリングはアウトサイダーミュージシャンのJoe Meekさんです。

www.youtube.com

 

  

 

ぼっさんぽい写真の撮り方

横浜のみなとみらいに遊びに行った時に撮影した写真です。完全にぼっさんと一致。よれよれの服装と生気が無い顔をしながらお花畑に隅に立っていれば誰でもぼっさん風の写真を撮影することができるはずだ。みんなもやってみよう!

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ぼっさんとは - はてなキーワード

ガールフレンドにもっとシャキっとした服装しなさい、と怒られた。シャキっとします。シャキシャキ。そういえばガールフレンド曰く2chウィキペディアに書き込んでいる人間と知り合ったのは僕がはじめてらしい。世間的に見ると異常者である。重々承知の上です。

 

amazonで検索したら出てきた謎のボサノヴァApple Musicとかもそうだけど、曲名や人名で検索すると「なに?このカヴァー?」という曲が出てくるんですよね。例えば、レイラで検索したときにエリック・クラプトンジェフ・ベックジミー・ペイジの三大ギタリストによる地獄のようなカヴァーが出てきたり、サブスクリプション・サービスは悪趣味な聞き方をすると楽しい。

ボッサン・ビートルズ

ボッサン・ビートルズ

 

 

蔓延るめんどくさい物語

 

 

下記ツイートをリツイートしているアカウントを覗いたらライブハウスでお客さんや出演者と記念撮影した画像でいっぱいだった。義理で遊びに行くと2500円も取られるが、何十億円もかけて制作されたマッドマックスの爆音上映が1800円と脳裏に浮かぶ。最高のミュージシャンのライブ映像もYoutubeで無料見放題。彼らにそれだけの価値があるのだろうか。

 

買わされた産業廃棄物は引越しの時にダストシュート行きの運命。「楽しかったよ。また来るね」と心にもないお世辞。ここには不幸が満ち溢れている。そもそもパー券を売るなんてことは政治家やヤクザの資金集めの定番。うざいし、めんどくさいし、嫌になることなんですよね。いうまでもなくパーティに中身が無いことを買わされる側は知っている。

 

美しいものは美しくあってほしいし、美しいものを作ってみたいとか、美しいものを聞いてみたいとか、いっしょに演奏すると楽しいとか、知的なことが学べて嬉しかったとか、たくさんあるのに社会的な部分と繋がり始めると途端に美しさは陰りを見せ始める。

 

誰も買わないのにCDを作る必要はないし、iPhoneGarageBandで録音すれば無料で音楽を作れる時代だ。お客さんが来ないのにライブをする必要なんかないし、そもそもライブをやっても身内の客が3人とかならば自分の家でやれよ。小学生の頃、放課後、友達の家に集まってゲームをやりにいった。ノリで遊びたらきっと楽しいのに。いっしょに遊ぶのはたのしい。今日おまえん家で演奏してんだって?ツイッターで見たぜ。あそぼー!ぐらいのノリでいいじゃん。人間を苦しめるめんどくさい考え方が蔓延っているのかよくわからない。物語に踊らされすぎだよ。

マインクラフトが見せてくれた未来

僕は東京都郊外のとある駅のカフェで昼食を摂っていた。1日の平均利用人数は6000人程度の小さい駅だ。山間部の麓に位置し、猪や鹿の姿はもちろん、場合によっては日本猿を見れるときもある。つまるところ田舎だ。

 

カフェはリーズナブルな価格帯だった。駅周辺近辺にファストフード店は存在しない。そのため中学生や高校生の溜まり場としても機能していた。

 

僕が座った席から斜め右のボックス席で中学生達がスマートフォンでゲームをしていた。マインクラフトで工作物を作っていたのだ。マインクラフトに飽きたらパズドラを遊んでいた。前者は海外のインディゲーム、後者は国内大手デベロッパーのソーシャルゲームだ。僕の子供の頃と大きく状況は変わっていた。マリオのようにボタンを押して破壊することしかできなかったゲームが大きなシェアを占めていたし、ましてインディゲームをプレイする環境は一部の財力と時間に余裕がある大人にしかできなかったことだ。

 

App StoreGoogle Playのランキングにマインクラフトが常に上位であることは誰でも知っていることだ。有料アプリではマインクラフト、無料アプリではパズドラが上位だ。当たり前だけど、中学生や高校生と触れ合う機会は無いから実際に遊んでいる姿を見たのは初めてだった。何かを作ったりするゲームは昔からあるけど、日本一稼いでるソーシャルゲームと並び立っているのは文化的な分岐点と思っている。

 

『僕たちのゲーム史』という本でテレビゲームとはボタンを押して何かが起きることだ、と定義していた。日本一有名なゲームのスーパーマリオならばボタンを押すとマリオがジャンプをする。そしてマリオはブロックを破壊するだろう。

 

ボタンを押して何かを壊す、テレビゲームとは基本的にそういうものだ。インターネットの普及で美しく何かを壊す人たちを見れるようになった。彼らはTASと呼ばれる人たちだけど、一方でボタンを押して作り出す人たちも見れるようになった。マインクラフトで手間暇をかけて驚天動地の製作物を披露しはじめたのだ。そして自分でも作ってみたい、と刺激された人たちがマインクラフトをダウンロードするのだろう。

 

中学生がロックスターに憧れてエレキギターを手にするような現象がゲームを遊ぶことでも起きているということだ。

 

ソーシャルゲームの課金者は意外と年齢が高いそうだ。当たり前だ。経済的余力が無いと課金できないからだ。そして、推測に過ぎないのだが、彼らが子供の頃に遊んだゲームはブロックを壊す、消費をすることに価値を見出しているから課金をするのではないだろうか。ブロックを気持ちよく壊すことにはお金がかかるのだ!

 

マインクラフトで遊んでいる子供達が大人になったときにどういう社会が作られれるのだろうか。生産物を作るためのツールにお金を払うことは今と変わらないかもしれないが、自分で自分自身の道具、もしくは隣人の道具を生産することが一般的になっているのかもしれない、と想像すると少しワクワクしてくる。ゲーム関係で話題になっている言葉でVR(virtual reality)がある。一昔前だとゲーミニフィケーションだ。後者は既に忘れ去られ、前者も近いうちに忘れさられるだろう。夢みたいなことが僕の手元に来るまでは時間がかかる。テクノロジーとは往々としてそういうものだ。ただ、15年後、20年後に訪れる未来はテクノロジーが一般化していることもある。マインクラフトを遊んでいる中学生達は転換点なのかもしれない。70年代から何十年間も壊すことばかりに夢中だったんだから。

僕たちのゲーム史 (星海社新書)

僕たちのゲーム史 (星海社新書)

 

 

 

 

 

 

 

週刊ビックコミックスピリッツ2016年17号

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いきなり打ち切り最終回のようなシーン。

 

前作も野球漫画を描いていた中原裕先生。今作はいきなり高校三年生の最後の試合から舞台をはじめています。ガンダム富野由悠季監督の作品のように文脈は知っていて当然!と言わんばかりに読者置いてけぼりでストーリが進んでいます。25巻目から読み始めた野球漫画と言えばいいでしょうか。そもそも野球関係の不祥事が続いているのに爽やかな青春ストーリを見せられても共感ができにくいんですよね。この後、主人公がどういう道に進むのかわかりませんが、トライアウトを受けて二軍スタートをしたら覚せい剤を勧められたとか、大学進学をしたら女子マネージャを集団レイプしそうになって主人公がブチ切れるとか見てみたいです。

のりつけ雅春先生が別のギャグ漫画を描いたらつまらなすぎた挙句の果てにアフロ田中を復活連載させたように権謀術数の駆け引きを楽しむ野球漫画に路線変更するかもしれません。ちなみに今週のアフロ田中は夢オチ天丼ギャグで久々におもしろかったです。

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赤堀君先生は2012年に佳作を受賞したばかりの若手です。「ぐりこカミングスーン」が初の週刊連載。音楽枠。「憧れだったバンドは考えているよりもずっと遠くにあった・・・俺たちの夢は何だったんだ・・・?」と打ち切りを食らった「モッシュピット」のようにバンドマンの9割9分は自己満足オナニーをひたすらし続けている気持ち悪い人たちなんですよね。大学の広場で歌っているときはかっこよかったけど、社会人になると彼氏との比較対象が増え、「あれ?こいつ何も作ってなくね?」と気づき破局するのは恒例行事です。そんなダメ男に惚れているグリコちゃんが主人公の漫画「ぐりこカミングスーン」。

 

バンドマンは幼稚なクズ野郎だから、練習が必要でかっこいい大人の男がやっている音楽を描こう・・・それってなんだ!ジャズだ!!!石塚真一先生の「BLUE GIANT」だ!ジャズ漫画がこんなに売れたのはじめてでしょ!!!

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)

 

 じゃあ?女の子の音楽は?・・・言うまでもなくアイドルなんですよね。このアイドルブームはいつまで続くのか。2012年頃にアイドルブームは下火になると某音楽評論家の予測は大きく外れています。一方で某音楽評論家が押していたインディ・ロックバンドは解散に追いやられる、メジャーデビューしても半年後には空中分解するという状況なんですよね。

 

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ダメ男に貢ぐためにグリコちゃん。

 

経済的に続けられる可能性が若手に残されているのがアイドルグループなわけだけど、それすらも市場原理主義の暴力に飲まれていることは変わりない。真鍋昌平先生の短編「アガペー」や大森靖子さんの存在が表しているけど、アイドルになりたいのになれない絶望を描くように、葛藤の末にメンヘラ化している女の子が目立つようになっている。アイドルデビュー→AVデビュー→失踪?のようなケースは後を絶たないし、清楚系AVという欺瞞に誰もが気づくように、アイドルという言葉自体に清潔感を失いつつあるんですよね。だから、アイドルになりたくないのに卓越した才能を持っている主人公という設定にすることで清潔感を保っている。アイドルやりたかったら汚いからね。

 

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今週の団地ともお藤子・F・不二雄先生を彷彿させるショートショートSF。ちょっと前までギャグの切れが失速気味だったけど、最近徐々に改善しつつあると思う。数週前のともおがスティーブ・ジョブズのコスプレをするのは爆笑しました。もちろん特徴的なプレゼン付き!

 

今作は時間をお金で買い取ってくれる時間セールスウーマンがともおの前に現れる。勉強の時間やマラソンなどやりたくない時間を全て売り払っていたらおじいちゃんになってしまっていた。作者も中年男性のともおを描くのははじめてだろう。設定自体はありがちだけど、オチのつけ方に一捻り加えるだけで作家性を示すのは"流石"の一言を贈りたい。

 

 

週刊ビッグコミックスピリッツ 2016年17号 [雑誌]

週刊ビッグコミックスピリッツ 2016年17号 [雑誌]